バディだとか何とか/風見+灰原/訳あって裏方として共に戦う二人/表では降谷さんとコナンくんが戦ってます


 まだ幼い江戸川コナンや灰原哀を巻き込むことに抵抗を感じないわけがない。だが、それでも風見は灰原と連絡を取っていた。
『江戸川君から連絡よ。容疑者の作久間とかいう男のデータの判断を貴方にもしてほしいんですって』
「作久間蓮だったか。その男ならこちらにもある程度のデータがあるが……目新しそうな情報はあるか?」
『江戸川君と貴方の上司が見つけ出したルートから、今回の窃盗事件の動機らしき別の事件が出てきたのよ』
「どこからその情報が出てきたのかはもう聞かないが、前科なんてあったか?」
『いえ、作久間蓮の従兄弟の友人、10歳の女の子が亡くなってるわ。表向きは交通事故。もう20年前の出来事みたいね』
「こちらの資料を洗おう。部下に連絡する」
『ええ、お願いね。後、』
「……ああ」
『江戸川君の発信機が○×ビルから飛んだわ』
「空飛ぶスケボー……」
『あと貴方の上司はガラスを二枚ぐらい破壊したみたいね』
「それは道路に面しているか?」
『公安的処理を頼むわ』
「今夜も残業だな」
『まずはデータを送っておくわ』
「分かった」
 風見は送られてきたデータに目を通す。ちなみに端末は阿笠博士が開発したとかいう特別製であり、風見と灰原が情報交換する為だけの機械だ。
 風見はデータを見てから部下に資料探しを頼み、自分は囮の突入部隊へと向き直った。降谷と江戸川が動き易くなる為に、盛大なパフォーマンスをしなければならない。
「質問、疑問、改善点はあるか。無いなら配置につけ。突入の合図は私が行う。気をつけることはただ一つ、なるべく派手に立ち回れ。俺たちがやる範囲のことで増える始末書はたかが知れている」
 突入部隊の内の数人が配置へと向かう前にそっと遠い目をした。彼らは過去に、ゼロではなく、江戸川の事件に巻き込まれている。それを確認した風見は内心ちょっと同情しつつも、自分にも降りかかる報告書やら始末書の山の未来を感じながら胃が痛くなった。
 しかし兎に角やらねばならない。風見も位置に着くと、突入の合図を送った。一斉に動き出し、怒号が飛び交う。抑えることになる施設はそう大きく無い。しかしここが潰れたと分かれば、他が動き、混乱が起こせる。

 あらかたの拘束や証拠の確保が出来た頃、端末に灰原からの連絡が入った。

─ ××通りでカーチェイスとサッカーボールね。

「あの人達は!!」
 勘弁してくれと、風見は目元を覆ったのだった。



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