名も無き掌編詰め合わせ

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 吐きそう。本当よ。私、あなたが好きだったの。だからね、全てを吐いて、胃液を出し尽くしてしまいたいの。あなたを思って蠢く内臓と、あなたを願ってざわめく血液の、全てが全てを出し切ってしまいたいの。本当よ、本当なのよ。私、あなたが好きだったわ。


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 電話番号を変えました。メールアドレスも変えました。あなたの写真を消しました。あなたとのビデオも消しました。何もかもを消して残ったのは、わたしだけ。たった一人の、一人ぼっちのわたしだけ。


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 神様、僕に愛をください。愛してくださればそれで僕は満足なのです。


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 あいらぶゆーときみが言う。だったらきみは死んでくれるのかと聞けば、高望みが過ぎると笑われた。


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 花が咲くような笑みがある。花が枯れたかのような老いがある。どちらにせよ、花は花だ。花は欠片だって、いつだって、美しいものだ。


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「おーるどまざーとぐらんどふぁざーとあとは何?」
「適当すぎる。」


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「理想郷と桃源郷は同じものかな」
「そもそもの場所が違うんじゃないか」


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 甘い砂糖とチョコレートシロップがあります。
「チョコレートシロップはチョコレートと呼びたくないわ!」

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