『ハク』
しの消化
しろの消化
ハクちゃんが今日も叫んでいる。
「あの白はなんだったのでせう」
本当にその通りだ。
私の中にはハクちゃんがいる。年頃は14歳程だろうか。中学生の女の子だ。
その子は髪を振り乱し、いつも何かを叫んでいる。血を吐くような声は、高くも低くもない、女とも男とも言えない声だ。
ハクちゃんは中学三年生の時に死んだ女の子だ。いつも笑みを浮かべて、沢山の友達と笑っていた。○○さん、○○さんと、周囲から呼ばれた美しい女の子だった。
ハクちゃんがいつ生まれたのか、私には分からない。ただ、15歳で死んだ女の子だとは知っていた。
死とは何でしょう。いつしかハクちゃんはその問いにしがみついた。ハクちゃんは15歳の日に死んだ。その問いが思いついた時に死んだのだ。明るく、聡明で、優しいハクちゃんは死んだ。
人が変わったようだと人は言った。ハクちゃんの死は誰にも気がつかれなかった。ハクちゃんは気がついたら、静かに死んでいた。もう、ハクちゃんは現実世界にはいなかった。
私の中でハクちゃんは今日も叫んでいる。
「あの白はなんだったのでせう」
本当になんだったのか。私がそっとハクちゃんを見ると、その後ろには白い手をした園児が座っていた。