天才/僕と猫


 間違えたからってなんだ。僕は正しさなんて知らなくて、ただ、血が悪かっただけ。そう決めつけたら、楽だっただろうか。この体に流れる血が、決めつけたなら。
 僕が選んだんじゃなかったのなら。
「馬鹿」
「うるさい」
「猫にだってわかる」
「うるさい」
「それがお前の出した結論だ」
「そうだよ」
 僕が選んだ。数多の人とは違う。これが。
「さあ、進め。お前は天才だ」
「そうだよ」
 進む。ダメなんて言わせない。僕に文句が言えるのは僕だけだ。
「天才で居続けてやる」
 その意気だ、青年!
 猫はそう笑った。

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