01:愛が重い/みかさに


【審神者視点】


「三日月の愛が重い」
「いつものことじゃん」
「ポテチ取ってくれよー」
「はいはい、愛染君の好きなのりしおはこちらになります。って違う、私わりと困ってる」
「主より初期刀の加州と第一部隊隊長の薬研の方が困ってるだろ」
「えっなんで?」
 ノルマはこなしているのだから、本気で分からないぞと眉を寄せれば、どっちかというとと獅子王君はのりしおポテチを口に運んだ。
「どっちかというと光忠か〜」
「えっ、あ、もしかして長船派と縁がないから……!」
「ポイント交換で毛利を引き換えたじゃん」
「あー、あれな! 燭台切が地味にショック受けてたぜ!」
「それはごめん、本当にごめん。今度ご飯当番私がやります」
「いや、主のご飯美味いけど雑だから光忠がいい」
「近侍が辛辣〜〜! いや的を得てるというか、その通りなんですけども」
 そうじゃないんだよと、私は緑茶の入ったお気に入りの湯呑みを机に置いた。

「三日月がこの前の鍛刀イベで二人増えた件についてだよ」
「数珠丸が手に入ったからいいんじゃねー?」
「てかいい加減溜まってる三日月(刀)を刀解しねえと枠が足りなくなるだろ」
「前に一度整理してから、話のネタにとためてみてるんだよ……そして枠はこの間増設しました」
「じゃあ何の問題もなくね?」
「獅子王に同意!」
「三日月の圧が怖い」
「今は加州と遠征に出てるからいないもんな」
「普段は近侍でもないのに部屋にいるもんな!」
「そうなんだよ、そうなんだよ……」
 主はさと、獅子王君が首を傾げる。その細い首と小さな顔に、流石は軽く作られているだけあると感動した。今日も近侍が美しい。
「主はさ、三日月に構われるの嫌なのか?」
「別に嫌じゃない」
「じゃあ問題なくね?」
「でもあんまり好かれてると怖いでござる」
「主さん、それは流石に面倒臭いと思う」
「分かってますーそれでもなんか怖い」
「複雑な乙女心ってやつか」
「え、獅子王君はそういうの無いの? 愛染君も?」
 鶴丸さんとか、一期さんとか、怖くならないのと聞けば全く無いと言われた。おう、まじか。
「主さんは多分自己肯定感ってやつが低いんだよ、だから愛されるのが怖いんだと思う」
「いつも自分は後回しだもんな」
「そんなことないです」
「「あるんだよ!」」
「ひえっ」
 全くと獅子王君と愛染君がため息を吐く。
「その不安定さがより三日月の心配性を加速させるんだって」
「まずは安定した精神を手に入れような!」
「うぃっす……」
 頑張るわと言えば、医者と相談しろよなと獅子王君に言われてしまった。そうだね、その通りだ。
 すると遠くからただいまという声がした。遠征隊が帰ってきたと私は立ち上がり、急いで門へと向かう。

「主さんってさ、変な人だよな」
「言ってやるなよ」
 本人が気にしてるんだからと、獅子王君が言ったことは聞こえずに。

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