例えば二人が同じ学年で無かったとしても、二人は結ばれたのだろう。そんな確信めいた仙蔵の言葉に、文次郎は唖然とした。

「何故仙蔵がそんな事を言うんだ」
「幸せそうだからだ」

 仙蔵は誰がとは言わない。だが周りは百も承知のこと。文次郎と伊作がお互いと会う時はとても穏やかなのだ。それでも文次郎はギンギンしてるし、伊作は不運なのだが。それでも二人は穏やかでほのぼのとした空気を作りだしている。

「私はお前が幸せならそれでいいのさ」
「…そうか」

 仙蔵は同室の親友、文次郎を見る。初めの頃は伊作に親友を取られて面白くなかったが、幸せそうな彼らを見てどうでもよくなった。幸せなのが一番だ。

「私も大人になったなあ」
「そうか。そりゃ良かったな」

 親友は笑って、部屋を出て行った。目的地はきっと…





幸せな二人
「伊作は居るか?」
「あ、潮江先輩。善法寺先輩はまだです」
「ったく何処かで穴に落ちてんのか」


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