過干渉のマリオネット


06:ささやかな宴会



加州清光視点


 本丸を一通り案内し、出会う刀達とミチトは自己紹介を重ねた。ミチトは刀剣男士がどういうものか分かっていないので多少噛み合わない会話もあったけど、俺や安定のフォローで何とか大事にはならなかった。
 かくして夕餉時。食堂へ行けば、大きなテーブルに和洋を問わず、多くの料理が並んでいた。

 わあと驚いて目を丸くし、キラキラと輝かせたミチトに、燭台切が笑った。
「今日からお客様がいるから、ちょっとした宴会にしようと思ってね」
「ちゃんとあるじさまのきょかはとってありますよ!」
 途中から今剣も加わり、二人は楽しそうに夕餉の準備を進めていた。俺はとりあえずミチトは安定と俺の間に座るように言えば、分かったと彼は素直に俺たちの隣に座った。
「すっごい量の食事だね! 見たことがない料理もある!」
「ふーん。洋服を着てるから、和食はあんまり?」
「和食、はちっちゃい頃は食べたことあるかも。でもそうだね、和食は馴染みがないや」
 あ、でも殆ど材料が何なのか分かんないなあとミチトは興味深そうに大皿のエビフライをつついた。すると歌仙がこらとそれを注意する。ミチトは素直に謝り、座り直した。

「それでは、彼が今日からこの本丸に滞在することになるミチト君です。皆さん、困っていたら助けてあげてください」
「えーっと、審神者さんから説明してもらいました。ミチト・マトリカリアです。一応、この本丸に降りかかるであろう脅威から皆さんを助けるために行動しますので、怪しい人とかじゃないです。神様方、よろしくお願いします!」
 そうして頭を下げたミチトに、皆がもどかしいような気恥ずかしいような顔になる。三日月さんなんかは平然としていたが、神としての意識がある刀剣男士はこの本丸には多くない。それはまあ、おそらく個体差というやつなのだろうが、とにかく、神様扱いに慣れていない面々が多かったのだ。

 一方で、頭を上げたミチトはその微妙な空気に気がつかないのか何なのか、挨拶は以上ですとハキハキ答えていた。その言葉をきっかけに、主の号令でささやかな宴会が始まったのだった。



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