過干渉のマリオネット


02:生命の理から外れているもの



加州視点


「えーっとひーふーみー、うん、六人いるね」
 少年が俺たちの数を数えて満足そうに頷いた。
 青年との戦いの中、絶体絶命の瞬間に乱入してきた少年、名前はミチト・マトリカリアと名乗った。
「あ、ナマエはミチトね」
「わかった。ミチト、ここはどこなの?」
 ていうか何者なのかと問いかける前に、ミチトはこの場所の説明をしてくれた。
「ここは時空の狭間。夢羽避けの魔法薬を飲んでるからもうアイツは来ないよ」
「ああそうなの……夢羽(むう)?」
「そうだよ」
 お兄さん達あいつに会うの初めて?とミチトは首を傾げた。

 そもそも彼奴は何なんだと鶴丸が顔を歪めた。
「全く歯が立たなかった、あれは何だ?」
「歯が立たなかった?」
 ミチトがひょいと首をかしげる。鶯丸はその様子に説明を追加した。
「刃が通らない、実態が無い、しかし向こうの攻撃はこちらに通る」
 その言葉に同意して理不尽だと語る蛍丸の、そこまで聞いて、ミチトは何か驚いた様子で目を丸くした。
「もしかして、夢羽を倒そうとしたの?」
 驚いた様子のミチトに俺たちは戸惑う。それはどういう意味かな、そう呟いた堀川の言葉を聞いて、ミチトはうんうんと何度か頷いていた。

「そうか、それなら、貴方達では夢羽を殺せない」
「刃が通らないから?」
「違う。夢羽は生きていない。死んでもいない。そこに在るけれど、それは肉体を伴うものではない」
「どういうことだ」
「意志だけの存在とも違うし、ゴーストともカミサマってのでもない」
 つまり、とミチトは言う。

「夢羽は"生きてない"んだから"殺せない"」

 そう言うことだよとミチトは苦笑した。



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