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第三者視点


 朝だ。爽やかな風が吹く中、亀甲は審神者の部屋に向かう。

「ご主人様、朝だよ」

 返事は来ない。けれど亀甲は失礼するよと部屋に入り、雪芽の寝室に光を入れる。

「今日のご飯はぼくも手伝ったんだよ」

 部屋の真ん中、布団に寝転がる雪芽は動かない。目を閉じ、口を閉じ、呼吸すらもしてない。しかしその体は瑞々しく保たれていた。

「ご主人様、今日は朝餉の席に行こうか」

 そして布団をめくり、セーラー服姿の雪芽を抱き上げる。横抱きにし、部屋を出ると五虎退がおはようございますと言った。その後ろから獅子王も出てくる。

「まだ目覚めないんだな」
「うん、そうみたい」
「大丈夫、なんでしょうか……」
「きっと大丈夫だよ」

 亀甲がそう笑うと五虎退は安心した様子で、朝餉の席に行くのなら皆に知らせなくちゃと走って行った。獅子王もまた、三日月の世話をしに行くわとその場を離れた。

 美しい、新緑の季節。ぼくが来たのはまだ桜が咲く頃だったのにな。亀甲は呟き、それから初夏の日を浴びた雪芽を見つめた。
 白い肌が光を反射してやわく輝く。金色の髪が風に揺れている。だけど、金色の睫毛は微動だにしない。
 そのことに亀甲は少しばかり落胆してから、ゆるゆると頭を振って雪芽へと話しかけた。

「夏になったらみんなでかき氷を食べようね」

 みんなが食べたいって言ってたんだと亀甲は笑った。



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