6.日曜日
宮沢視点
朝食後は居間で星座の本を読み、気がつけば昼時になっていた。月乙女さんが作ってくれた昼食を食べて、また少し本を読んで、それから一休みしていた時のこと。
ふと壁に日めくりカレンダーがあると気がついた。どうして今まで気がつかなかったのだろうとカレンダーに近寄る。すると、そのカレンダーに強い違和感を覚えた。なぜならそこに日付は無く、日曜日とだけ書いてあったからだ。
曜日カレンダーというものか。そんなことを少し考えてから、カレンダーに触れる。ぱらり、捲るとそこには日曜日の字。捲る、日曜日。一枚捲る、日曜日。また捲る、日曜日。日曜日、日曜日、日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日日曜日。
くらりと眩暈がする。何故このカレンダーには日曜日しか無いのか。ぞわりと背中に悪寒が走った。何か良くないものだと感じて、ぼくは月乙女さんに話しかけた。
「月乙女さん、このカレンダーは」
「どうかしましたか」
どうして日曜日しかないんだい。そう聞くと、月乙女さんは嗚呼それならと微笑んだ。微笑んだ。
「ここには日曜日しかありませんので」
だから、そのカレンダーに間違いはないですよ。そう、月乙女さんはうっとりと黄色の目を細めて、笑っていた。
………
それからのことはよく覚えていない。気がつけば外は暗く、ぼくは布団に寝転がっていた。
___これでは日にちが分からない
___私は分かります
___ぼくが、不安なんだ
そうだ、ぼくはその時そんな会話をして、月乙女さんに断ってから柱に三本の傷をつけた。ここに来てから、今日で三日目。だから、三本の傷を柱につけて、日にちを刻むことにしたのだ。
寝返りを打つ。何だかとても疲れた。今日はもう寝てしまおう。そう考えて、ぼくはゆっくりと目を閉じた。