「また怪我したんですか?」

なんて、乱太郎は言って今日で三人目の怪我人さんに手当てを始める。保健室にやってくる生徒はなんだかんだで決まってくる。ほらまた来た人も一週間に一回は保健室に来る人だ。

乱太郎が既に他の人の手当てをしているから、僕が手当てをする。常連な怪我人さんは既に井戸で傷口を洗って来ていて、こういう人ばかりだったら楽なのにと思う。

僕が手当てを終えて名簿にチェックすると、乱太郎も丁度手当てを終えていた。名簿を渡すと乱太郎は僕にお礼を言って名簿の怪我人さんの項にチェックを入れていた。そんな乱太郎を僕はじっと眺める。乱太郎はどうしたの、とこちらを見て笑う。

「もしかして怪我したの?」

そう言う乱太郎は僅かに嬉しそうだ。乱太郎は自分じゃあ気がついてないけれど、人を治療するのに喜びを感じる性らしい。僕がそのことに気がついたのはたまたま同じ保健委員会の一年生で行動することが多いからだと思う。他に気がついているのはきっと保険委員長ぐらいだろう。

「伏木蔵?」

きらきら、きら、り。乱太郎の目が隠れ隠れきらめく。怪我を喜ぶかのような、あまり人に喜ばれることではない気持ち。そんな自覚なしの歓喜を自覚なしに隠そうとしているのは、なんとも。

「すっごい、スリル〜」





あるまじき性よ
(乱太郎は保険委員にぴったりかもね〜)
(?)


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