家庭料理/ズミ+ミナキ/ジョウトの家庭料理を学びたいズミさん/会話多/多分続く


 マーシュと待ち合わせたカフェでコーヒーを飲む。ミアレでもそれなりに有名なこのカフェはコーヒーとサンドイッチが美味しい。
 扉が開く音がした。時間がそろそろだったのでそちらをちらりと見る。そこには待ち合わせたマーシュがいた。私服でもマーシュは仕事着よりは派手ではないものの、振袖で見間違えることはない。そしてその後から入ってきた人物と共に、マーシュは私に近付く。
「ズミはん久しぶりやなあ」
「ええ。お久しぶりです。」
「マーシュ、彼かい?」
 私はそう言った彼を見る。ミルクティ色の髪と、海のような青の目。男性で、年齢は同じくらいだろうか。全てが想像していた人物像とは全く違っていた。

「初めまして。私はズミです」
「こちらこそ初めまして。私はミナキ。ジョウトの人間を探していたそうだが」
「ええ。是非ジョウトの家庭料理を食べてみたいと思ったのです」
 成る程と男性、ミナキは笑った。
「大したものは作れないが、ごく一般的な家庭料理ならそれなりに作れるぜ。ただ、ご期待に添えられるかわからないが」
「いえ、私は普通の家庭料理を知りたかったので。」
 よろしくと握手をし、マーシュに語りかけた。
「それにしても男性だとは思いませんでした」
「あら、そうなん?」
「ええ。マーシュは女性ですし。昔のツテと言っていたので女性を呼ぶのかと」
「そら残念に思わせてしもうたかしら。でもミナキはんはとっても綺麗やなあ」
「そんなことはないぜ。マーシュの方が綺麗だし、ズミさんだって美形なんじゃないか?」
「ふふ。ウチらはまだ若いんやから。」
 マーシュの言葉に引っかかりを覚える。私たちはまだ若い、とは。

「ああ、ズミはん。ミナキはんはウチらより年上なんよ」
「そうなんですか?」
「ああ、今年で30だぜ。」
「失礼かもしれませんが、とても見えませんね」
 ミナキさんは私の言葉に明るく笑う。
「言われ慣れたさ。ジョウトやカントーの人間は若く見られがちだし。さて、本題なんだが」
「ああ、ほなウチはお暇させていただきますわ。少しアポが入ってるんよ」
「分かりました」

 マーシュを見送るとミナキさんは本題を話す。
「じゃあまずは何処で料理をするかだが」
「私のアパートが近いのでそこにしようと思ったのですが」
「それならそこにしよう。それなら買い出しだな」
 ミナキさんはそういえばと茶目っ気たっぷりに笑った。
「マーシュに教えてもらったんだが、ズミさんは料理人なのだろう?野菜を買いたいのだが、オススメの店なんかがあれば教えてもらえないか?」
 調味料のアテはあるんだと笑うミナキさんに、私はそれならばと案内をしたのだった。

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