チリオモ/学パロ/ポケモンはいる/notパルデア/タイトル未定6/つづくといいな


 朝日が射し込む。ことこと。足音がする。チリが目を開くと、オモダカが身なりを整えていた。すぐにチリの目覚めに気がつき、振り返る。
「おはようございます、チリさん」
「おはようさん。お嬢さんほんと、朝に強いなあ」
「ふふ、早寝早起きはずっと得意なんです」
 ニコニコと笑うオモダカの姿に、嫌な夢が霧散していく。早く起きて、朝の支度をしないと。ふらふらとする思考の中で、そうだとオモダカが言った。
「ポケモンたちの朝ごはんを先にしてもいいですか? なんだかお腹が減っているみたいで」
「ええんとちゃう? うちの子もあげんと」
「私に任せてください。チリさんはゆっくり目覚めて大丈夫ですよ」
「朝飯は?」
「大食堂に行きましょう」
「ええやん、それ」
 チリはうとうととしながらも、よっこらと起き上がった。くあ、と欠伸をすると、ドオーがつられてくああと欠伸をした。
 ポケモンたちの皿を用意して、フーズを入れていく。チリはもたもたと制服を着て、オモダカを眺めた。オモダカは嬉しそうに笑いながら、ポケモンたちにゆっくりお食べと声をかけていた。ポケモンたちは各々が好きなように、習性に沿って食べていく。どんなポケモンも、大抵フーズが食べれるのはすごいことだ。発明した人はきっとポケモンが好きだったのだろうな、とチリは思った。
 オモダカと揃って部屋を出て、鍵をする。チリは合鍵を確認して、制服の胸ポケットに入れた。教科書の類が入ったカバンを手に、大食堂に向かう。
 大食堂は高い天井をしている。漆喰なのかモルタルなのか、白い壁に黒光りする木目のコントラストが印象的だ。窓は大きく、光を多く取り込んでいた。どうやら電気はつけていないらしい。随分と明るい。
「私はオムレツセットにします」
「うちもそれで」
 メニューから選び、注文し、すぐに渡されたトレーに皿が乗る。湯気が立つオムレツは具沢山で美味しそうだ。
「席ありました」
「お、あったん?」
 空いていた席に座る。どうやら食事を大食堂で取る生徒はそこまで多くないらしい。寮によっては、寮母さんが作ってくださるそうですよ。オモダカが食べながら器用に言う。
「寮母さんなんて居んの?」
「はい。そうらしいです。私たちのキアルト寮にはいらっしゃいませんね」
「シロナさんなら居るな」
「先輩ですよ」
「シロナ先輩」
「そうです」
 バトル同好会と言っただけで二つ返事で了承した彼女は、あまりにフットワークが軽いようだ。あれから見かけていないが、生徒会室に大人しく居るタイプでは無いだろう。チリは他の生徒会役員が大変そうだと、遠い目をした。まあ、チリには関係のない話であるが。
 朝日を浴びながら食事を終え、授業に向かう。今日は歴史学からだ。つまらなそうだ。チリがくあと欠伸をすると、寝てはいけませんよとオモダカが笑んだ。
「寝そうやったら起こしてや」
「テラバーストでよろしいですか?」
「人にわざ使うたらアカンよ」
「ふふ、そうですね」
 楽しそうなオモダカに、チリは全くと息を吐いた。花のように無邪気で、真っ直ぐに太陽に向かうような少女。それがオモダカだと、思えた。
 朝日が少女たちを照らす。チリが空を見上げると、雲一つない快晴だった。

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