チリオモ/学パロ/ポケモンはいる/notパルデア/タイトル未定5/つづくといいな


「あら、バトル同好会? いいわね、受理するわ」
 生徒会長のこの一言で、チリとカトレアの所属が決まったのだった。

 昼食。大食堂でオモダカとシキミと合流する。バトル同好会に所属することになったと言えば、オモダカとシキミは楽しそうだと羨ましがった。
「私は風紀委員会に所属します」
「わたしは、図書委員会と文芸部に入ります」
「シキミは本当に本が好きね」
「はい、とても」
 オムライスを食べながら、チリは器用にオモダカに話しかける。
「ホンマに風紀に入るん?」
「ええ、決めていましたから」
「堅苦しそうやなあ」
「そうですか?」
「うちはそういうの無理やから」
「ふふ、風紀委員会に入れ、なんて言いませんよ。バトル同好会のこと、教えてくださいね」
「あー、よう分からんけど。まあ、うん」
「どうかしたんですか?」
「いや、何でもないねん」
 カトレアが目配せする。チリはそっと胸の鍵に触れた。制服の下で、それが冷たく感じた。

 寮に帰る。暗いキアルト寮館はなかなかにホラーであるが、相変わらずチリは怖いと思わなかったし、オモダカも特に気にしていなかった。何人かの生徒とすれ違う。同じ寮生なので会釈をすると、何やら黄色い声が響いた。
「そういえば、チリさんに渡したいものがあって」
「ん?」
 部屋に入ると、オモダカが何やら包みを取り出した。私のサイズなので裁縫しなくてはと言う。まさかと、チリは瞬きをした。
「スラックスです。シャツは共用なので、大丈夫でしょう」
「え、なんで」
「スカートが邪魔そうだったので」
「でも!」
「裁縫なら任せてください」
「ええの?」
「はい、勿論」
 微笑むオモダカから、スラックスタイプの制服を受け取る。じわじわと胸の内側が温かい何かで満たされていく。思わずオモダカに抱きついて、後ろにあった彼女のベッドに押し倒した。わあっと声を上げたオモダカを、チリはぎゅっと抱きしめる。
「ありがとうっ」
「ふふ、どういたしまして」
 さあ、着てみて。私が直してみせましょう。そんな頼もしい言葉にチリはすりすりと額をすり寄せて、ありがとさんと繰り返したのだった。

 それから消灯まで、裁縫や読書、配られた教科書の類の整理などをする。キラフロルとドオーが楽しそうにしている中、何とか消灯時刻に電気を消してベッドに入った。オモダカは矢張りすぐに眠った。チリはすうすうと眠るオモダカを暗い部屋でじっと見ていた。オモダカの眠るベッドが、仄かに輝いている気がする。
 昨日、見たあれは何だったのか。夢だったのか。そうではないのか。チリには何も分からない。でも、鍵は胸にある。オモダカは肌を見せない。でも、彼女なりに、チリの最善を尽くしてくれた。
 疑うわけではない。でも、どうしてだろうと疑問に思う。彼女は何者なのだろう。
 月光がカーテンの隙間からこぼれた。月明かり、ピッピが踊るにはまだ弱い。でも、何かが外を蠢いている。違和感に、チリは起き上がってカーテンを少しだけ開けた。
 行進だった。ぞろぞろと、小さなものたちが行列を成している。中心には比較的大きな何かがいた。蝶々のような羽根を持つ婦人だった。それは何なのか。チリには分からない。分かる由もない。
 ただ、本能的な恐怖と、肌で感じる親近感が、同時に湧き上がる。長く見ていてはいけない。チリはカーテンを閉じた。
 オモダカは寝ている。キラフロルも壁に張り付いている。ドオーもよく寝ていた。チリはそっと、ベッドに戻った。
 それから、いつの間にか意識が落ちていった。


ゆめのなか
ちいさなおうち
きらきらのいし
いしがすき
きらきらのかがやき
いのちのきらめき
あなたはほうせき?
いいえ、ちがいます
だったらいいの、あなたはいいの
わたくしはゆめのなか
ちいさなおうちにくるみがひとつ
くるみのなかにいしがある
おくるみのいしはきらきらの
きき、ら、きらきら
ちいさなほうせき
だからね、これは

「gealach」

よばれてとまる
このこうしんの、おおきなおうち
ゆめのなか
そう、これは、

ゆめのなか

ゆめのなか

ゆグめシャのリな、か

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