チリオモ/いちばん!/チリさん1位おめでとうございます。/オモダカさんとボタンさんの会話がメインですが、二人の会話文はこれでいいのだろうか。謎です。


「チリさん、話題なんですね」
 言われて、オモダカはきょとんとする。ボタンは、これですと雑誌を見せた。
「雑誌なんて、あなたにしては珍しいものを」
「友達が話題にしてて、貸してくれたんです」
「そうでしたか」
 パルデア人気ランキングなるものを見せられ、オモダカはふむと頷いた。
「これは確かにチリが一位ですね」
「ええっと、惚気ですか」
「惚気というより事実では?」
「アッハイ」
「それよりペパーさんがランキング入りしているのはなぜですか?」
「ああそっち。あの人、面倒見が良くて懐が広すぎて、最近めちゃくちゃ人気なんですよ」
「はあ」
「あとオモダカさんも別のランキングに入ってますからね」
「私のことは横に置きます」
「ええ?」
「チリは素敵な人ですから、人気があって当然ですよ」
「根に持ってる……」
「根っこの化石の話ですか?」
「アッハイ作業します……」
 画面に向き直したボタンの、その机にそっと雑誌を置いて、オモダカは執務室に戻った。

 執務室に戻ると、自分の机に何やら紙の束を置くチリがいた。お、帰って来たやん。にこやかなチリに、オモダカはふむと頷いた。
「やはりチリは素敵な人ですね」
「えっ」
「雑誌を見させていただきまして」
「あー、なんか取材あったやつやろ」
「一位おめでとうございます」
「どーも。ってか総大将も取材受け取ったやん」
「私は、ええと、何でしたか? 建築家の関係だったような」
「アカデミーの建築についてどうのこうのと」
「ああ、それでしたね」
「チリちゃんも仕事で評価されたいわあ」
「充分に評価しているつもりでしたが足りませんでしたか」
「押し強っ! 総大将からは充分に評価されとりますー」
「そうでしょうとも」
「自信満々やな。でも、こう」
「はい」
「恋人が仕事で評価されとらんのは、嫌やろ」
「はい?」
 だって、とチリは眉を下げた。
「総大将は実力主義やし」
「私は評価してます」
「ううーん、話が通じんなあ!」
「あの、チリ、少し相談なのですが」
「嫌な予感しかせえへん」
「実はこういう話がありまして」
 オモダカはそっとスマホの画面を操作し、見せた。チリはその画面を見て、唖然とした後に、ニッと笑った。
「ええやん」
「そう言っていただけて助かりました」
 にっこり。オモダカの笑顔に、チリは気合い入ってきたと楽しそうにしていたのだった。

 そして、それから二週間後だった。
「オモダカさん!」
「あ、進捗どうですか?」
「順調です、じゃなくてこのウェブ記事!」
 ああそれですか。ボタンの見せたスマホの画面に、オモダカは笑みを浮かべる。
「チリと私の対談ですね」
「バズってるっていうかむしろこれは炎上してます!」
「ダメでしたか?」
「いやもう皆尊死してますけど?!」
「とうと、えっと?」
「細かいことはいーんです! 何してんですか?!」
「リーグの宣伝になればと」
「挑戦者増やし?!」
「話題性は重要でしょう」
「ああああ、胃が痛い……」
「ドクターを呼びますか?」
「やめてくださいしんでしまう」
「死んだら困ります。あなたは重要な人材ですから」
「うわー!! やめてください暫く放置しててください仕事はするんで」
「なら良いです」
 微笑むオモダカに、ボタンは胃の辺りをさすりながら、デスクに向かったのだった。

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