12/26 22:21
ダイディア/想像よりもきっと自由


ダイディア/想像よりもきっと自由



 心地の良い春の日差し、花畑、きみと共に。
 エアームドのそらをとぶで訪れたのは秘密の花畑。穏やかな風が吹くそこで、僕はきみをそっと降ろした。きみは花畑に目を輝かせて、近寄り、恐る恐る手を伸ばした。両の手でやわく花を包み込み、そっと顔を寄せ、口付けを落とすように花の香りを感じている。その、薄い硝子細工を触るような仕草に、花はもっと強いものなのにと思った。きみは花から手を離し、くるりと僕に振り返る。伺うようなそれに笑顔で頷けば、きみは笑顔になって花畑へと向かった。
 花を踏まぬようにきみは花畑を跳ねるように移動する。きらきらときみの体が太陽光を反射して煌めく。その輝きは決して派手なものではなく、上品なもの。優美なそれは世界で最も美しいというダイヤモンドの輝きだ。
 きみがくるりと振り返る。春のうららの花畑。きみはとても嬉しそうで。
「そうだ、花冠を知っているかな。」
 屈んで、指先で花を触る。幼い頃に覚えたそれ、今でも作れるだろうか。
「きみは何色が好きかな。」
 手の中で黄色いタンポポが咲く。


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