◎スコーン@会話文


アルカヴェ/会話文/スコーン


「アルハイゼン、ジャムの蓋を開けてくれ」
「何故?」
「そこの、まだ未開封のやつだ。手が離せないんだ」
「自分で開けろ」
「スコーンを作ってみてるんだ!」
「……なぜ?」
「母さんが手紙でレシピをくれたんだ」
「はあ……」
「ジャムとクリームで食べるときっと僕が好きだからって。本当はクロテッドクリームがいいんだけど、」
「開ければいいのか」
「そう、そのベリージャム」
「……」
「開いたな、皿に適量分けておいてくれ」
「きみのお眼鏡に叶う盛り付けをしろと?」
「きみはジャムを取り分けることもできないのか?!」
「そう言うのが目に見えていると言っているんだが」
「スコーンは庶民から貴族まで幅広く食べる手軽なお茶菓子だそうだから気にしないぞ」
「どうだか」
「よし、焼くか!」
「……生地がまとまってない気がするが」
「そういうものだよ。少しパイ生地みたいにするんだ。よし、ジャム終わったか?」
「それはきみがやればいい。クリームは泡立てるのか」
「はいはい、きみはその筋肉でホイップしてくれ」
「人間を道具として扱うな」
「きみのほうが事実として早いんだよ」
「そうか」
「よし、皿に移したぞ。結構甘めなジャムを選んでみたんだ」
「そうか。混ぜたぞ」
「ホイップが早くないか? 本当に出来てるんだが」
「この程度なら大した手間ではないからな」
「そうだろ!」
「コーヒーを淹れるのか?」
「今回は紅茶だ。母さんが茶葉も送ってくれたんだぞ」
「はあ」
「……きみって、母さんが嫌いなのか?」
「なぜ?」
「さっきから母さんのことになると反応が悪いぞ」
「別に特段感想はない」
「そうか?」


05/06 22:40
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