◎ドレス
アルカヴェ/にょたゆり
ふわりとしたレースが多用されたドレスだった。
カーヴェがドレスを着ている。ウェディングドレスのような白と金のドレスに、アルハイゼンはぐっと目を閉じて、開く。やはり、カーヴェがドレスを着ていた。
「あ、アルハイゼン、なんで」
「何をしている?」
「知ってるだろ、ブライダルの広告に出るんだ」
「きみはそう言った仕事はしないはずだ。建築デザイナーなのだろう」
「いいだろ別に、僕も着てみたかったんだ」
花嫁姿になりたかったのか。アルハイゼンは慎重に息をする。
「相手は?」
「え?」
「対となる新郎役はどこだ」
「落ち着けよ。今回は僕一人だからな」
「そうか。次はない」
新郎なんて近づけない。アルハイゼンの決意に、カーヴェは苦笑した。
「アルハイゼン、きみは少し視野が狭くなっている」
「……」
「きみと僕が、二人で並べばいいんだ」
「は、」
アルハイゼンにも似合うドレスを頼んでみよう。カーヴェはそう笑った。
カーヴェとアルハイゼンはウェディングドレス姿で並び合う。広告に使う写真撮影だ。新婦二人だと、花があっていい。依頼主はたいそう喜んでいた。
女性同士の婚姻は、学術家庭でもない限り、認められない。それでも、カーヴェは確かにアルハイゼンの花嫁として、今ここにいてくれている。きゅうと、手を繋ぐ。どうした、とカーヴェが上を向いた。アルハイゼンはそっとその顔に唇を寄せる。静かなキスに、周囲は呆けていた。
「あ、るはいぜ、」
「綺麗だよ。俺のカーヴェ」
「っ当然だろ!」
もうと顔を赤らめたカーヴェに、周囲はそう言うことかと拍手し、祝福したのだった。
02/20 20:20