◎家族
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アルカヴェ
愛を嫌って、疎んで、蔑んで、そして、讃えて、与えて。
アルハイゼンは起き上がる。夢を見た。カーヴェが笑っていた。笑いながら、アルハイゼンの腕からすり抜けていった。
別に、アルハイゼンの隣にいて欲しいわけではない。ただ、息災であればいい。カーヴェという人が健やかであればいい。この、ほんのささやかな願いを、人は傲慢と呼ぶ。
ヒトとは。何かしらの困難に遭遇する。遭遇し、困り果て、やがて自分なりの答えを見つけ出す。
それは決して悪いことではない。
カーヴェもまた、生き永らえばいい。彼自身は流星のように輝き、燃えて、塵となって死んでいくつもりのようだ。アルハイゼンはそれを許容できない。誰かに使い潰される姿など、見たくない。
彼の才能を、アルハイゼンは認めている。だから、傲慢にも、同じだけの時間を共に過ごしたいと思う。
家族というもの、だと思う。アルハイゼンにとっては、このように息災を願う個人とは、家族に該当する。だから、アルハイゼンにとって、カーヴェは家族なのだ。どうってことないのに、カーヴェには言い難い。
彼にとって家を形成する家族は、とても繊細な事柄だ。
「アルハイゼン、朝ごはんできたぞ」
扉の向こうから声がする。アルハイゼンはのそりと起き上がった。急かされても、嫌な気持ちにはならない。やはり、カーヴェは自分の家族なのだろう。
たとえ、彼が認めなくても、事実は確かにここにある。
01/06 16:46