◎予告@会話文


アルカヴェ


「アルハイゼン、聞いてくれ」
「到底手が回らない面倒なことを引き受けたんだろう」
「ここに古書がある」
「話を聞こう」
「きみ、本当にこの方法で話を聞くのか……」
「誰の入れ知恵だ?」
「旅人が試してみて、って。いや、あの子は悪くない! とにかく聞いてくれ」
「うん」
「簡単に概要を説明すると、明日僕は龍になる」
「簡潔すぎるだろう」
「期限は分からないが、とにかく龍だ。ドラゴンの方じゃない」
「デザインの問題か」
「秘境でファルザン先輩がまずこのギミックを引き当てて。ファルザン先輩ならギミック解除の方法が分かるだろうから、明日、僕が引き受けにいく」
「……拒否する」
「無茶言うな、決まったことなんだから。まあ、どうなるかはファルザン先輩の様子からして、知性は会話できるぐらいに残る。あとは、静かな場所を好む、それも水辺が落ち着くってところだな。家の中を壊してもいけないから、龍になっている間、旅人の元でお世話になる契約を、」
「この家の家具が壊れたところでまた買えばいいだけだ」
「無茶を言うな! 僕だって自分のせいで家具が壊れるところなんて見なくないんだ」
「ならば俺も旅人の世話になろう」
「きみ仕事は」
「有給をとる」
「職場に迷惑をかけるな」
「有給の権利は全員に与えられているはずだが?」
「僕の辞書にはないな」
「龍に変化している間、きみの仕事はどうなる?」
「メラックと協力してなんとかする。当分は打ち合わせはできないけどな」
「そうか。まあいい。好きにしろ」
「そうするよ」
「だから俺も好きにしていいだろう」
「待て、嫌な予感がする」
「さあ、話は聞いた。古書を渡せ」
「ああうん、いいよ。はい。状態はわりといいと思うよ」
「……」
「もう没頭してる……」


01/02 22:33
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