◎君のすきな様に


勘くく

眠ることも起きることもなにも変わりやしないのだ。それが終わりなのか始まりなのか。どちらにせよ睡眠という微睡みへの依存から来る人間の性なのだ。

そんなような持論をつらつらと述べた久々知は若干満足そうに布団に潜る。そんな様子を尾浜は少々呆れたように見てから委員長の仕事で書をしたためる作業に戻った。その最中に尾浜の後ろでもぞりと久々知が動き、布団が擦れる音がする。尾浜が布団に背を向けて座っているので後ろから聞こえるのは至極当たり前のことだった。

「勘右衛門」
「なーに、兵助」
「勘右衛門は睡眠をどう思う」
「人間に必要なものだと思うよ」

尾浜の答えはマトモであり、優秀ない組らしい回答だった。それに久々知は満足したのかどうだかわからないが、ごそりと布団から出て尾浜の背中にピタリと背を付けて座った。

「どうしたの兵助」
「勘右衛門が必要な睡眠にまだ辿り着けそうにないから、俺も依存的睡眠から離れてみた」
「ふーん」

尾浜はさらさらと最後の書をしたため、提出用にまとめる。それはすぐに終わり、尾浜はくるりと久々知の方を見る。久々知もくるりと尾浜を見ていた。

「さあ、寝よう」
「…うん」

ほころぶように笑う久々知に、尾浜は甘やかしていることを毎回自覚するのだった。





君のすきな様に
(兵助のやりたいことをなるべく好きなようにさせてあげたいんだ)


05/25 02:24


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