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 2022.09.16.Fri:23:12

フリーワンライお題で自主練させていただきました。
使用お題:閉じた瞼に夢の続きを/繋ぎ止める/誘惑の果実/ホットケーキ
ジャンル:二次BL
CP:燭福
タイトル:二度目
#真剣文字書き60分自主練編

 朝、夢を見ていた気がする。そんな、うつろな意識で、目を閉じた。
「おはよう」
「あ、光忠かい? 起きるから待っててくれ」
「いや、いいよそのままで。風邪を引いたでしょう」
「何で知ってるんだい」
「薬研くんに薬もらってたって聞いてね、すぐに主に確認をとったんだ」
「なるほどね」
 俺の弟は優秀だなあなんて笑っていると、ほら休んでてと、燭台切は言って、テキパキと朝食らしき、お粥を用意してくれた。梅干しなどの漬け物も添えてある。
「いろいろ試しながら食べてみて。食べられないなら残していいからね」
「助かるよ、ありがとう」
「どういたしまして。早く良くなってね」
「うん。安静にしてるよ」
「暇が辛かったら音楽でも流そうか」
「いいよ。今は、食べて、寝る。そうだろう?」
「その通りだね」
 燭台切はまたねと言って部屋を出ていく。福島はそれを見送ってから、お粥に手を伸ばした。食欲はあまりないが、食べるべきだろう。だって光忠が用意してくれたのだから。
 お粥の横に細かくすりつぶされて、氷の入ったものがあった。りんごのすりおろし、だろう、か。
「起きて!」
 目を開く。手入れ部屋だった。燭台切が泣きそうな顔をしていた。
 そうだった。戦で検非違使に見つかり、執拗に狙われ、重傷になって、隊長の判断で帰還したのだった。運が悪かったのだろうが、日頃の鍛錬も足りなかったのだろう。反省しなければ。
「光忠、みんなはどうなってる?」
「全員軽傷で手入れ終わってるよ。集中的に狙われてしまったって隊員の皆も反省してた」
「そっか。わかった。審神者に会いたいな」
「じゃあ、執務室に話を通しておくよ。僕はおやつ作るね。そろそろ時間だからさ」
「うん。怪我しないようにね」
 燭台切は、貴方のホットケーキにホイップクリームと果物をつけてあげると、ちょっとだけ泣きそうな目で言っていた。心配させてしまったな。福島が眉を下げると、燭台切は痛むならまだ休んでてと、手入れ部屋を出て行ってしまった。
 止めるべきだったのか。福島にはわからなかった。でも、燭台切のおやつは特別な味がする気がして、大好きだ。心が弾んで、目の前のお粥を食べ切れるような気すらしていた。
 小豆のすいーつも好きだけれど、燭台切の作ったものはもっともっと大好きだって思えるのだ。



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