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 2016.01.25.Mon:01:13

第32回フリーワンライ企画様へ提出作品
使用お題:冬遊び/きみ専用膝枕/雨の音/恋をする理由/明け方の街
ジャンル:オリジナル
タイトル:きみと暖炉の前で
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
とても短い掌編。猫と僕。


 冬遊び、雪遊び。昼間に白い雪を踏んだ猫のきみの、その足は冷たい。僕の膝に我が物顔で丸くなるきみの背を撫でて、そうだよと笑う。僕の膝はきみ専用の膝枕。ぬくもりを分け合う僕らの部屋の窓の外、目を閉ざせば穏やかな雨の音が聞こえる。穏やかな雨はゆっくりと雪を溶かして、小さな小川を作り流れる。まるで、流れ去ったかつての恋のようだと思う。溶けて流れ消えたのは単に炎が落ち着いただけだ。ならば、恋の炎に身を焦がしていた時に理由があっただろうか。目を開けば膝の上のきみと目が合う。カーテンの無い窓の外からほのかに朝の予兆がする。もう夜が明けるのだ。そしたら明け方の街にきみと繰り出してみようじゃないか。
「きみの進みたいところへと。」
 言えば、きみが笑ったような気がした。



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