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 2016.01.25.Mon:01:09

第21回フリーワンライ企画様へ提出作品
使用お題:放す/造花の花束/夜を飲み込む/午後五時からの遅刻
ジャンル:オリジナル
タイトル:貴方は奇跡だったのに
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
たったの200字しかありません


 手放した花束、床にばら撒かれた花々は全て造り物。其れ等を女は見つめることはしない。ただ、前方だけを見つめる。その目に怨みも憎しみも無い。映るのは夜を飲んだかのような真黒の髪と目の少女。柔らかな白の肌を持つ彼女を、女は見つめる。少女の腕の中には、薄い紫を帯びた青薔薇の花束。ひとつ、またひとつと花弁を落とす青薔薇達。時間は午後五時、夕陽の無い夏。間に合わなかったのだと悟るのは容易く、女は顔を手で覆った。



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