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 2016.01.25.Mon:00:33

第32回フリーワンライ企画様へ提出作品
使用お題:冬遊び/雨の音/恋をする理由/何度言えば信じてくれますか/明け方の街
ジャンル:二次BL LH宮中
タイトル:献身的なきみに伝える
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
とても短い掌編。宮沢さん視点。


 明け方の街、静かな街。冬の冷たい空気の中、何度言えば信じてくれますかと中原君はうわ言のように呟く。その頭をゆっくりと撫でながら、帰ろうかと僕は中原君の手を引いた。いつかの雨の日にも彼は同じことを言っていたけれど、その日は雨の音で聞き取れなかった。信じるも何も、僕は中原君の言葉に嘘偽りが無いことを知っていて、きっとそれは信じているということだ。そもそも中原君のうわ言のような言葉は夢心地の中でうっかり零れた言葉なのだ。心の中で思っていること、偽ることのできないその行為を中原君は僕に捧げているということだ。それを僕は心から嬉しく思うし、同時に何よりも愛おしく思える。
「中原君、ほら屋敷が見えてきたよ。」
 そうだ。怖いのなら外に出て遊ぼう。そうやって僕の時間を捧げるから、どうか信じてはくれないか。
「不安にさせてしまってごめんね。」
 そうして出かけたその場所で、理由付けされた愛をきみに伝えるよ。



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