LOG■ 2016.01.25.Mon：00:32
第31回フリーワンライ企画様へ提出作品
使用お題：涙の音/雨の日の約束/夢の続き/簡単には逃がしてやらない
ジャンル：二次BL LH宮中
タイトル：腕の中のひと
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
殴り書き。ふんわりしてます。次はもっと練りたいところです。
葉を撫でるような雨。優しい雨の音がする。同じ傘の下、指切り。幸せな契りの詩を歌った。ままごとのように軽やかな声で歌ったのはきっとお互いだったのだ。きみの頬が濡れている。優しい雨音はきっときみの涙の音なのだ。だからぼくは告げる。
「夢を見たんだ、幸せな未来を見たんだ。」
きみが目を伏せるのを見て、ぼくは肩を引き寄せる。きみが濡れないように。涙を無かった事にしないように。その涙もぼくにとっては愛おしいことを、きみは受け入れてくれるだろうか。だからそう、逃げないで。きみの冷たい指を触り、手を握る。
「ぼくはきみの手を離したくはないよ。」
きみは俯きがちのまま目を見開いて、そして顔を上げた。握りしめた手を解き、指が絡まるように繋ぎなおす。
「俺も離す予定はないぜ。」
そうして示唆された意味に、ぼくは嬉しくなる。涙の音は止まらないけれど、ぼくらはもう心を決めていたのだ。