◎誕生日プレゼント


会話中心/短いので移動しただけです


 目の前には大量のぬいぐるみ。やたらとファンシーなそれらは目に痛いほどきらきらして見える。しかしなぜそんなぬいぐるみが我が家に溢れているのか。答えは簡単だった。
「今年もマツバへの誕生日プレゼントの量は凄いなあ」
「ミナキ君…」
 そう今日は僕、マツバの誕生日だった。
 送り主の殆どは女性で、毎年違うものを全員揃って送られる。一昨年は大量の腕時計が届き、去年は大量のネクタイ。今年は何があったのか分からないが、ぬいぐるみらしい。
「こんなに貰っても困るよ…」
「いいじゃないか愛されてて」
 笑うミナキ君に癒されつつ、選別作業を始める。危険なモノとかは事前に他の人が調べてくれているから問題ない。
「捨てるのはちょっと勿体なくないか?」
「あー他の地方にある幼稚園に寄付するつもりなんだ」
「成る程。」
 一つ一つ丁寧に仕分けをしていると、ミナキ君が手伝おうと言ってくれた。
「いや、悪いよ」
「そう言うな。」
「じゃあ、よろしく」
「おう」
 二人掛かりでテキパキと仕分ける。プレゼントの山はあっという間に片付いた。と言っても夕方までかかったのだが。
「うーん。終わったー」
「お疲れ様ミナキ君。ありがとう。」
「どういたしまして。そうだマツバ、これ」
 そう言ってミナキ君から手渡されたのはプレゼント包装がされた箱。
「これは?」
「開けてみてくれ」
「うん。」
 ごそごそと開けると、フワンテのマグカップ。
「この間割ってただろう。だから」
「ありがとう、ミナキ君」
「沢山プレゼントを貰ってるから要らないかと思ったんだが」
「そんなことないよ!ミナキ君から貰えるなんて嬉しいな」
「それならいいんだが」
 ミナキ君は照れて頬をかいている。
「その、誕生日おめでとう、マツバ」
「ありがとうミナキ君」
 僕は笑顔でそう言った。


12/04 02:40
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