◎叶わないなら、いっそ


カト→シキ/カトレアが恋心を自覚してあまり経ってない頃/短いので移動しただけです


 いつもアナタを眺めてるわ。それをアナタは気がついてないのでしょうね。悲しくなんかないわ。気がついて欲しくないもの。この恋心は気がつかれてはいけないものなの。そしてこの恋心は気がつくべきではなかったの。

「カトレアさん?」
 ワタシの傍らで読書をしていたアナタが続けて言ったわ。眠たいんですか、と。ぼうっとしていたからね、本当は取り留めもないことを考えていたの。アナタへの恋心よ。本当に、どうしてワタシはアナタが好きなのかしら。アナタはとても魅力的。でも恋したくはなかったわ。
(だって女性同士よ)
 この、たった一言がどれだけ大きなことか。この一言のせいでワタシの恋は叶わないわ。アナタは同性愛者じゃないもの。もちろんワタシだって違うと思ってたわ。でも、アナタへの恋心を自覚した時全てが崩れてしまったの。
「カトレアさん眠たいというか、疲れてるんですか?わたし出て行きましょうか?」
「いえ、大丈夫よ。少し考え事をしていたの」
「考え事、何か悩みでもあるんですか?」
「たいしたことじゃないわ。ありがとう」
「そうですか?でも相談ならいつでも乗りますよ」
「ありがとう」
 アナタは優しいわ。それがとても苦しいの。甘えてしまいそうになる、告白して受け入れてもらえると思い込んでしまうわ。

 この恋は叶わないの。ねえ、ねえ、シキミ。
(叶わないならいっその事…)



叶わないなら、いっそ
(優しくなんか)(しないで頂戴)
願い5題
劣情ノイズ


07/11 13:41
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