◎約束、だから。


カトシキ/短いので移動しただけです


 カトレアさんはいつも眠そうです。

「カトレアさん、カトレアさん」
「なあにシキミ」
「なあにもなにも挑戦者ですよ」
 挑戦者の方がカトレアさんが起きないと、私に泣きついてきたのはついさっき。私は挑戦者さんにカトレアさんの塔の外に待ってもらって、急いでベッドに駆け寄ったんです。
「あらそう」
「あらそう、って…」
「ワタシ眠いの。寝させて頂戴」
「いやいや、ちゃんとバトルしてくださいよー。私に勝った挑戦者さんですから腕は立ちますよ」
「…」
「あれ、カトレアさん」
 カトレアさんはいきなり起き上がって私を抱きしめました。
「どうかしたんですか?」
「アナタ、負けたの?」
「ええ、まあ。」
 ぎゅうっと強く抱きしめられて、ようやく機嫌が悪いことに気がつきます。
「あのー」
「ワタシは勝つわ。アナタの分まで、アナタの目の前で勝つから」
「ちょっと言ってる意味が分からないのですが…」
 まあやる気を出してもらえたのなら、いいですかね。
「だから勝つからご褒美を頂戴。」
「は、え?ご褒美?」
「そうね、アナタからのキスがいいわ」
「え、え、」
「約束、ね」
 そう言うとカトレアさんは私の額にキスを一つ。そして立ち上がりました。顔が、熱いです。



約束、だから。
(ほ、本当に目の前で勝っちゃった…)
(さあ、ご褒美を頂戴)

不思議なあのこと6題
劣情ノイズ


07/11 13:38
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