◎君が望むのなら


ギーマ→シキミ/短いので移動しただけです


「ギーマさん、こんにちは」
「こんにちはシキミ。今日はどうしたんだい」
「特に何もありません。強いて言うなら本を読みにきました。」
 そう言ってシキミは腕の中の本を私に突き出した。そして私の後ろのソファを座り、本を読み始める。
 シキミは軽い男性恐怖症で、その克服のために協力してあげてくれない?とカトレアに言われたのがシキミが私のもとに通い始めたきっかけだった。最初は来てはすぐに帰っていったが、そのうちに滞在時間が長くなっていった。そして、私の中の恋の種も育っていった。

 はじめは一切興味無かったが、だんだんと彼女が目に付くようになっていった。決定的なのはレンブと会話するシキミを見たときに感じた嫉妬だった。近づくな、と思ったのだ。
(困ったものだ)
 私の中のシキミへの思いは家族愛によく似ていた。でも違う。とても穏やかな愛は時に醜い独占欲の面を持っていた。
(ああ、彼女を閉じ込められたら)
 何度思ったことか。カトレアに相談したことがある。それは所有欲に似ているわねと言われた。確かにそれもあるかもしれない。でも違う。私は彼女が欲しいだけじゃない。愛したい。愛を語らいたいのだ。
 でも私はなにもしない。
「ギーマさんはいい人ですね」
「そうかい?」
「とても良い友人です」
 にこりと笑うシキミ。そう、彼女は私と友人であることを望んでいるのだ。



君が望むのなら
(友人でいてあげよう)
(でもいつか、君が私を恋人にすることを望んでくれたらと思うよ)

願い5題
劣情ノイズ


07/11 13:37
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