◎ぬいぐるみ


食事会組


 いいものがありますよ、とザクロが言った。
「なんですか?」
「秘密です」
「なんやろなあ」
 わくわくと期待するマーシュに、ザクロは少し待っていてくださいと部屋の奥に消えた。そこで私はぐるりと部屋の中を見回してみる。そこはいつものザクロの自宅の、リビングだ。ひっそりと最新のトロフィー、石のインテリア、壁に取り付けられた観葉植物。ザクロは少しでも化石ポケモンたちを安らがせたいのだと言っていた。観葉植物は生きた化石と言われるようなものばかり。確かな愛情だ。
「持って来ましたよ」
「わあっニンフィアのぬいぐるみやー」
 マーシュがザクロから手のひらサイズのぬいぐるみを受け取り、きゃっきゃとはしゃぐ。それは愛らしくデフォルメされており、目の位置や色などで出来が良いものだとすぐに分かった。
「ズミさんにはこちらのシャワーズを」
 差し出されたシャワーズの手のひらサイズのぬいぐるみを受け取る。よく出来ているとは思うが、この可愛らしいぬいぐるみをどうすれば良いのだろうか。
「部屋に飾ろうと思うわあ。ズミはんはどうするん?」
「私は、」
「ああ、少し、可愛すぎたでしょうか。出店で見かけて、思わず買ってしまったのですが……」
 困った顔をするザクロに、慌てて弁明する。
「とても気に入りましたよ?!」
「それなら良かったのですが、」
「そうや、ズミはんのもウチのもザクロはんのこのリビングに飾ったらどうやろ」
「え」
「そしたら皆で集もうた時に見れるやろ?」
「それはいいですね!」
「えっ」
 きゃっきゃとどこに飾るかではしゃぐマーシュと、それに続いてニコニコと提案して行くザクロ。そんな二人に頭が置いていかれそうだったが、何とか追いついた私は
「トロフィーの横はどうでしょう」
 素早く提案したのだった。


06/23 18:15
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