◎晴れる


チリオモ

 オモダカが陽を浴びている。
「総大将、チャレンジャーが敗退したで」
 チリが呼びに行くと、そうでしたかとオモダカは微笑む。
「なかなか筋が良いと思っていたのですが」
「鍛え直してチャレンジするって言っとったで。ま、経過観察やな」
「チリが言うならまだ見込みはありますね」
 オモダカの判断はシビアだ。チリは息を吐く。敗退を認めないのではない。その精神を、魂を、オモダカは見つめている。
「チリ、晴れますよ」
 ポケモンリーグの頂上で、オモダカは言う。チリも外を見た。風が強い。陽が照っててきた。パルデアの豊富な太陽を、オモダカは愛している。そのことを、チリもよく知っている。
「お天道さんは総大将みたいやな」
 何気なく言うと、オモダカは首を横に振った。
「私は手の届かない太陽などではありませんよ」
 そうでしょう。オモダカの断言に、チリはどうだかと笑ったのだった。


03/09 14:59
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