◎いつかの旅立ち


チリオモ


 チリは迷わないと決めた。オモダカについて行く。そのためなら、どれだけの犠牲があろうと構いはしない。
 オモダカというほんものに、チリはついて行くのだ。
「トップチャンピオンを降りようと思います」
 それはもう決断したこと。オモダカは言った。
「チャンピオンクラスの方々への手紙は認めました。もう郵送の手配は済んでます」
 さて。
「チリ、あなたに聞きます」
「……」
「私は旅をします。このパルデアで、各地を回りたい。ただの、トレーナーとして」
 そこに。
「チリは来ますか」
 迷いはない。
「チリちゃんはどこまでもついてくからな」
 たとえ、置いていこうとしても。
「絶対に総大将以外に傅くつもりはないんやからな!」
 まあまあ。オモダカは笑う。
「私のチリは頼もしいですね」
「せやろ」
 では、今から。オモダカが手を差し伸べる。だが、チリは手を掴まずに、後ろに立った。
「髪、切ります?」
「いいですね」
 互いの長い髪を切り落として、整えて。そうして、身軽になった二人は、パルデアの大地をゴーゴートに乗って駆け出した。


02/24 18:58
- ナノ -