◎うらみ


チリオモ


 いつか私たちが幸せになれたら、なんて。

 オモダカの持ち家の一つ。別荘であるそこで、ハウスキーパーに案内される。チリは客間に着くと、先にいたオモダカに挨拶した。
「おはようさん。調子はどうや?」
「万全ですよ。リーグはどうですか?」
「完璧やな」
 それはオモダカの施策通りに進んでいる。オモダカへの脅迫状と、その対処。トップチャンピオンに向けられる脅迫状はさして珍しいものではないが、今回は具体性を帯びていたため、オモダカは裏側に回った。
 しばらくトップチャンピオンの業務をネモに渡し、その相棒にボタンをそばに置く。博士の息子たるペパーや他のチャンピオンクラスはエリアゼロ周辺での待機となった。
「全てが駄目になってからでは遅い」
 オモダカは淡々と言う。さらりとスーツのジャケットを着た。
「目指すべきは強いパルデア。それを理解できない無能には、然るべき制裁を」
 それこそが、トップチャンピオンたるオモダカの仕事だ。
「目標はアオキさんが追っとるで」
「分かりました」
 ではチャンプルタウンへ。オモダカが高らかに宣言すると、チリはうやうやしく頭を下げたのだった。


02/02 21:33
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