◎マラサダの会
グラハウ/マラサダの会
夏である。チャンピオンは旅で慣れたとはいえ、暑さに滅入り、リーグで涼んでいる。グラジオはエーテルパラダイスでポケモンたちの世話に勤しみ、リーリエはいつかエーテル財団を支える一人になるべく、勉強と鍛錬を積み重ねていた。
そしてハウは、しまキングが決して血統主義ではないと思っているため、いつかしまキングに選ばれるための鍛錬を朝から晩までこなしていた。
「ハウ」
「あ、じーちゃん」
どうしたのとハウが駆け寄ると、エーテルパラダイスに届け物をしてほしいとのことだった。渡された籠の中から香る匂いに、ハウはぱっと顔を輝かせた。
「マラサダだ!」
「分けて食べるといい」
「うん! ありがとうじーちゃん!」
ハウはたったかとハウオリの船着場に走った。
エーテルパラダイスに着くと、ハウは知り合いの職員に連れられて、グラジオの元に辿り着いた。
「グラジオー!」
「ハウか。どうした? アポはなかっただろう」
「じーちゃんがマラサダくれたんだー」
「なるほど」
分けて食べるか。グラジオの言葉にハウは嬉しそうに笑った。
エーテルパラダイスの片隅、テーブルと椅子のある部屋に入ると、マラサダを大きな皿に乗せた。
「多いな」
「ポケモンたちと食べようー」
「シルヴァディたちか。連れてくる」
「お願いー」
ハウもライチュウたちを出して、マラサダを配る。シルヴァディたちも、集まってくるとマラサダをグラジオが配った。
「じゃあ、みんなでカプ・コケコに祈りを。いただきますー」
はーいと皆で挨拶をして、マラサダにかぶりついたのだった。
08/15 22:48