◎フローライト


キバネズ/わんこ攻め/13万hitお礼リクエスト企画の作品になります。yさん、リクエストありがとうございました!


 ぐったりとネズがソファに寝転がっている。キバナはそれを見て不安そうにしながらも、パートナーたちと掃除をしたり食事を作ったりとしていた。
 まず、キバナがネズの家を訪ねたのは夕方だった。家を空けるけん、そんな連絡をマリィから貰ったのだ。
「ネズぅ……」
「はい」
「う、ごめん……」
「起こってませんよ、だいたい、おれの自業自得ですから」
 マリィいわく、ネズが風邪を引いたとのことだった。あの、不健康そうな見た目に反して存外健康優良児のネズが風邪だって? キバナは慌てて来たものだ。
 大体、一流のトレーナーがそんなことで倒れるわけがないのだ。氷が降っても雨が降っても、砂嵐だろうと日が異常に照りつけようとも、その場に立ち続けるメンタルとフィジカルは通常装備なのだから。
「三日」
「うん」
「寝てないんです」
「寝てくれよ」
「仕事が」
「いつの間にタスク管理が下手になったんだ?」
「マリィにジムを任せてから、ちょっとばかり、無茶しました」
「で、三徹、と」
 へにょん。キバナの目が不安げに垂れる。良い子ですから、気にせずに。ネズはふふと笑った。
「いちばん辛いのはネズだろ」
「おれはいいんですよ、別に」
「オレが気にするの」
「泣かないでください、ワンパチ……」
「ワンパチじゃないし、寝ぼけてるだろ?!」
「ノイジーです……が、こればかりはおれが悪いですね」
「うん。だから寝ような」
 キバナがそっとブランケットを掛け直すと、ネズはすみませんねとキバナを引き寄せて軽く頭を撫でたのだった。


04/20 16:53
- ナノ -