◎午後のこと@ネズ+ホップ


ネズ+ホップ


「ネズさーん!」
 ガラルを揺るがす大事件の後、ネズの家を訪ねる人間が少し増えた。
 その中の一人、ホップが訪ねてきたのだ。

「相変わらずノイジーなやつですね」
 兄弟揃ってノイジーだ。玄関先、ネズは呆れ顔で、今は仕事中なんですよと言った。ホップはそれはごめんなさいと眉を下げる。
「あくタイプについての論文で知りたいことがあって……」
「ああそうですか、30分ほど待てるのなら」
「待てる! ありがとうネズさん!」
 ホップは嬉しそうに笑っていて、楽観的なやつだとネズはふと思った。彼が楽観的なだけではないことは、ネズもよく知っているけれど。

 きっかり30分で仕事にケリをつけて、待たせていたリビングに向かう。ホップはネズのタチフサグマや自身のバイウールーとポケじゃらしなどで遊んでいた。
「あ、ネズさん! いいのか?」
「構いませんよ」
 にしても、とネズは首を傾げる。
「あくタイプのことならマリィにだって聞けるでしょうに」
 ああそのこと。ホップはあっけらかんと言った。
「"あくタイプの天才"はネズさんだろ?」
「それは他人の貼り付けたラベルですよ」
「でも詳しいことは確かだし」
「マリィの方が話しかけやすいでしょう」
「そんなことない! ネズさんも優しいからな」
 実はちょっとしたプライドがあってさ。ホップは照れながら言った。
「同期に質問するのはちょっと気恥ずかしくて」
「はあ……。まあ、そんなプライドはさっさと捨てることですね」
「なるべく早く捨てたいな! じゃあ質問いいか?」
「どうぞ」
 おまえたちは本当に人の話を聞かない兄弟ですからね。ネズがぶっきらぼうに言うと、ホップはそうかなときょとんとしていたのだった。


02/18 21:33
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