◎やさしいこころの持ち主は


キバネズ/やさしいこころの持ち主は/同棲してます/家はスパイクとナックルにそれぞれあって、今回はスパイクタウンにいます。


 穏やかな声がする。ネズはぼんやりと起き上がった。ソファの上、ブランケットが掛けられていた。ああ、ネズ、おはよう。キバナがひょいとキッチンからリビングにやってきた。
「タチフサグマたちがそろそろ起きそうって言ってたから、ミルクティーを用意してみた」
「それはどうも。おまえは起きていたんですか」
「うん。掃除したかったし」
「すみませんね。じゃあ夕飯の支度をしましょうか」
「いいのか?」
「良いすじ肉が手に入ったんですよ。少しばかり下処理に時間がかかるので」
「お、そうなのか。それは楽しみだな」
「そんなに期待されても困りますので。じゃあまたポケモンたちを頼めますか。ああでもカラマネロは支度の手伝いをしてください」
 ポケモンたちが、分かったとそれぞれくつろぐなりネズに着いていくなどする。ネズは髪を結い直して、キッチンに向かった。

 コトコト煮込んだすじ肉は時間も手間もかかるが、ネズはその時間が好きだった。
「美味しくできたら、いいんですけど」
 正確には、キバナの口に合えばいいのだけどと、考える。なんでも美味しいと食べてくれるが、どうせなら心の底から美味しいと思ってほしかった。
「凝り性なのはお互い様、ですね」
 カラマネロがそっと冷蔵庫からすじ肉を取り出した。早く作り始めないと夕飯に間に合わない。そう言われている気がして、それもそうですねとネズはエプロンを手にしたのだった。


12/06 21:16
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