◎光の当たる方へ


キバネズ


 ネズはスポットライトがよく似合う。キバナは後方でライブを見つめていた。熱狂と、歓喜と、哀愁のメロディは、対峙する観客を掴んで離さない。
 いいなあ。キバナはぼんやりと思う。彼に特別扱いしてもらえている自分が言うことではないことぐらい、承知の上だ。キバナは、ネズの大切にする、オーディエンスを、羨ましいと思う。
 いちファンとして居られたら良かったのか。否、キバナがネズを求め、ネズもキバナを許している。その関係に後悔は無い。
 でも、それでも思うのだ。
(ネズの哀愁ってやつを全身で受けれたら)
 それは、とても幸福なんじゃあないかと、思うのだ。


12/05 17:22
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