◎風邪


グラハウ


 朝、うーんと背伸びをして起き上がる。背筋を伸ばすことで目が覚める気がするのだ。昨日は夜遅くまでバトルの作戦を練っていたので、いつもの朝より眠たかった。
「うう、おはようー」
 ほらライチュウ起きて。朝ごはんを食べ損ねるよ。そうパンケーキ色の体を揺らすと、はたと気がつく。燃えるように熱かったのだ。
「ら、ライチュウー?!」
 ぽてんと目を腫らしたライチュウは、熱があった。


「風邪を拾ったらしいな」
 慌ててポケモンセンターにライチュウを連れて駆け込むと、グラジオに出会った。カウンターでジョーイさんから説明を受けていたのを聞いていたらしく、詳しい話は必要ないようだ。
「うんー、なんか流行りの風邪らしいよ。グラジオのポケモンは大丈夫ー?」
「俺の方は平気だな。ハウの他のポケモンはどうだ」
「平気みたいだよー」
 でも一応ジョーイさんに預けたのだと語れば、それが安心だなとグラジオが隣に座った。どうやらポケモンがいない間、おれのそばにいてくれるらしい。気にしなくてもいいのにと言いつつも、心細かったので安心できた。
 旅を始めてから、手持ちポケモンがすべてそばにいないのは、初めてのことだった。グラジオはどうにも都合の良い人だなあとぼやけば、そうでもないさと返ってくる。
「利用しているのはオレの方だからな」
「かっこつけめー」
「いいだろう別に」
「うん、いいよ」
 だからもう少しそばにいてね。そう呟くと、当然だと笑われた。


09/01 20:15
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