◎みすてりあす


グラハウ


 あなたと居ると、時間があっという間に過ぎてしまいます。
「わかる」
「そんな食い気味に言わなくてもー」
「ハウと一緒にいるとあっという間に時間がすぎるんだ」
 不思議だなと首を傾げたグラジオに、ハウは顔をそむける。ふわりと熱くなった頬は知らないふりだ。
「あのねー、そういうの、他の人には言っちゃだめだよー?」
 おれはいいけどさあと本を閉じる。マリエの図書館にはこんな本もあるんだと、ハウは一つ学んだ。ロマンスというやつだ。
「ハウは、違うのか」
 きゅうとした目で見られて、思わず息を詰める。この人の目は、綺麗すぎてたまに怖くなる。ハウはゆっくりと意識して呼吸を戻した。
「おんなじだよー」
 言わせないでよと頬を膨らませてみれば、グラジオはそうかと決まり悪そうに目をそらしたのだった。


05/03 18:16
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