◎その歌は、きっと異界の愛の唄だった。
グラハウ/原始の歌/三次元の鳥の求愛の鳴き声
歌声が聴こえる。知らない言語で刻むメロディは、やっぱり知らないものだった。
「ハウ?」
「ん、なあにー?」
歌を止めて、ハウはくるりと振り返った。ざあと吹き抜けたアローラの風は、とても熱かった。
「それ、何の歌なんだ」
そう聞くと、ハウはふふと笑った。
「どうだったかなー」
「おい」
「ふふ。ごめんね、ほんとに知らないんだー」
どこで憶えたのかなと首を傾げたハウの視線の先には、鳥ポケモンがいた。
「鳥が歌ってたのかなー」
何だかそんな気がすると笑った彼が、一瞬だけここではないどこかに居るような気がした。だから、オレはハウの腕を掴んだ。
「もう、歌うな」
「うん、わかったー」
仕方ないなあ何て笑ったハウに、焦燥感が募った。
風は、焼けるように熱かった。
12/18 00:39