◎うらやましい


グラハウ


 遠い地方の話。いつだったか結ばれた男女は愛の果てに身を投げて、次の生では双子のきょうだいとして生まれ変わるらしい。

 ロマンチックでしょうか。リーリエは眉を下げた。
「どういうことー?」
「あの、私にはとても、残酷に思えて」
「残酷にー?」
「だって、きょうだいになんて」
 それはつまり、この世で結ばれることはないのに。そう呟いたリーリエに、おれはそうかもしれないねと首を傾げた。
「だけど、ずっと一緒にいられるよー?」
「いえ、ずっと一緒には」
「ああ違うー、えっとー、ずっと切れない証があるでしょー?」
 それってきっと幸福だと笑えば、リーリエは分かりませんと頭を振った。


 生きている間に祝福されて、生きている間に幸せになればよかった。なれなかったから、二人は身を投げて、次の世ではきょうだいになった。より強固な、血の繋がりを持って。
(おれは、いいなあって思うよー)
 二人は双子ではないけれど、グラジオとリーリエの血の繋がりは、本当はとても羨ましい。どうやっても知らない顔を、どう願っても得られないものを持っているのだから。
(うらやましい、なあー)
 こんな気持ち、知りたくなかったよ。そんな事をライチュウにぼやけば、彼は首を傾げて、丸い目をくりりとまあるくした。


07/08 19:16
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