◎常世の星


マツミナ/テーマ:輝くほしぞら/タイトルのごとくマツミナさんが永遠であってほしいなと願いながら書きました


 星座観察をしようなんてミナキ君に慣れないことを言った。
 夜になると誰もかれもが家の中の小さな光で過ごすこのエンジュは星空がまあ綺麗な方だろう。だから何処かに出かける事なく二人で庭に出て並んだ。ミナキ君は真新しい星座図をくるくると回して準備を整えていく。少しは勉強したんだと言うミナキ君はちゃんと考えての行動だったらしい。できたと満足そうにしたミナキ君は星空と図を見比べて空を指差した。
「ほらあれがこれだな。」
「シシコ座ね。ふうん。」
「それで向こうが……。」
 楽しそうなミナキ君に少しだけ違和感を覚えて、一つの考えに至った。
「ミナキ君は昔、こういうことも好きだったの?」
「ん? まあ、そうだな。」
 星座もまた神話に縁がある。だからだとミナキ君は笑った。
「昔は片っ端から神話に触れていったんだ。だから、その一端の星座が好きだった時期もあったわけだ。」
 意外だろうとミナキ君は笑う。それは確かにその通りだと頷きを返す。覚えている限り、スイクン伝説が星座に絡むことはなかった筈だからだ。
 ミナキ君は言う。でも全てはきっと繋がっているのだろうと。
「マツバがそう言っていただろう。」
「そうかもしれないね。」
「曖昧だな!」
 ミナキ君はクスクスと笑って、それから言う。
「だから無駄じゃなかったと思えたんだ。マツバに出会って、初めて。」
 積もり積もる人生の出来事の全てが無駄ではなかったのだと。
「それに、こうしてマツバと星が見れる。」
「そうだね。」
 少しだけ頬を染めて嬉しそうにしたミナキ君に、僕はそれならばと告げる。
「もっと星の事を教えてよ。」
 そうするとミナキ君は目を輝かせ、任せろと笑ったのだった。



title by.207β


11/13 23:49
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