◎赤薔薇『愛情・情熱・美』


マツミナ/まるで新婚夫婦みたいじゃあないか/短いので移動しただけです


「赤い薔薇の花言葉は知ってる?」
 マツバが一輪の赤い薔薇を手にして外出先から戻って来た。丁度夕飯の支度を終えたミナキが出迎え、二人で居間に向かいながらマツバの質問に答える。
「確か愛情に関することだった気がするが」
「だいたい正解」
 くすりと笑うマツバに、ミナキは至極真っ当な疑問で返事をした。
「だいたい?」
 その返事に、マツバは握っていた薔薇をくるりと回し、微笑みながら口を開く。居間の前に着いた。
「花言葉は一つの花にいくつもあることが多いんだよ」
「そうなのか」
「その中でどの意味を受け取るかは受け取った人次第なんだ。つまり渡す側は意図した意味を受け取ってもらうために何かしらするのが普通さ」
「ふむ」
「それでね、ミナキ君」
 ひどく甘味を帯びた柔らかなマツバの声に、ミナキはなんだと言う。マツバは微笑んでいる。
「この薔薇をあげる。愛情と情熱を君に捧げよう。君はとても美しい」
 差し出された赤い薔薇を反射的に受け取ったミナキは、それ少しの間見つめてから頬をピンクに染め、おずおずと口を開く。
「それは流石に恥ずかしいぜマツバ……」
 そんなミナキを優しく、楽し気に見ながらマツバは言う。
「そうかな?でも喜んでもらえたなら言ってよかったよ」
 ミナキは苦し紛れに夕飯を食べようと言った。



赤薔薇『愛情・情熱・美』
(マツバに愛情表現されるのは慣れていると思ってたぜ…)
薔薇に関する花言葉20題
NightmareGirl


07/02 16:49
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