◎罪悪感@不快


ハヤアカ
!あまり気分のいい話ではないです!


 略奪愛の何が楽しいのだろうと、少女は言った。
 少女、アカネの言葉に僕は黙る。アカネはその低俗な浪漫を知らないのだ。誰かのものを奪うことに喜びを感じることを知らないのだ。
 ならば、それを教え込んだらどうなる。どんな表情をし、どんな行動をし、どんな言葉を俺に伝えるのだろう。いつも明るい、天真爛漫のような少女に。そう考えて、口をぎゅっと閉じた。だいたい、どうやってアカネにそれを教え込むというのだ。俺が、アカネに。
 流れるように両手を口元に当てて、こみ上げる嘔吐感をやり過ごす。アカネがどうかしたのかと気遣ってくれる声が聞こえて、罪悪感まみれの胃酸を吐き出してしまいそうになる。
(ごめん、アカネ。)
 低俗な男でごめんね。


06/19 00:35
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