◎小鳥が歌いだすときに


カトシキ/夜明けの時間にあなたのそばで



 眠れないの、とアナタが言うから。
 いつまでも続くかのようなまどろみをアナタは感じていたのだと言う。とても真面目に言うのだから、ロマンチストねなんて言えばアナタはそんなものじゃないですと拗ねてしまった。
「ねえ、こっちをみて頂戴。」
「カトレアさんが意地悪しないならいいですよ。」
 意地悪なんてしてないけれど、それを約束するわなんてワタシは言うの。するとね、アナタはね嬉しそうに笑うの。まるでそれこそ微睡みの中みたいに。
「シキミはワタシの夢の中だわ。」
 ぽろりとそうこぼしてしまえば、アナタはならばと口を開いてくれたの。
「なら、カトレアさんは私の御伽噺ですね。」
 御伽噺という名の、理想郷だなんて!


03/11 05:06
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