◎甘く、甘く、甘い
うぐしし
作業用BGM→マジックナンバー(坂本真綾)
砂糖蜜みたいって言えば、それはお前の髪だろうって微笑まれた。
鶯丸は俺に甘い。そりゃもう甘い。おやつをたくさん与えようとするし、お小遣いを与えようとするし、なにより柔らかく手をつなぎ、口付けを額に落とす。
鶯丸は甘すぎだ。そう文句を言えば、そうでもないだろうと言われた。そんなことないと言えば、そうでもないさと言われた。
「俺のおやつを用意するのは獅子王だ。小遣いは貰おうとしないし、手をつないでも文句を言わない」
ほら、獅子王は俺に甘い。そう言われて、そんなことないと俺は言い返す。
「当たり前のことじゃん!」
「そうか。まあ細かいことは気にするな」
「気にするって!」
だって、だってと俺は赤くなる頬を見せないように両手で包む。手が熱い、頬が熱い。
「せめて口付けは人が見てないところでって言ってるのに」
「そうか、善処しよう」
「それする気ないだろ!」
ああもう鶯丸は俺に甘いって繰り返せば、そうかもしれないなと笑われた。
そして、同じ部屋にいた大包平と愛染は、他所でやれと冷めた目で俺たちを見ていたのだった。
09/08 17:13