◎知らぬが花


明愛/ちょっぴり人型歴が長そうな愛染さんの話/診断からお題をお借りしました
作業用BGM→共犯者(カラスヤサボウ・鏡音リン)


 知らぬが花、なんちゃって。
 明石が探してたよと蛍が言う。そっか、とオレは川に浸していた足を静かに上げた。ぴちゃん、雫が落ちた。
「明石は相変わらず本丸の中探してんのか?」
「うん」
 不思議だよねと蛍はオレの隣に座る。明石はまだ、愛染が屋敷の中(目の届くところ)に居ると思ってるんだ、って。
「それが保護者ってことなのかね」
「そうなんじゃない?」
 明石も勝手だなあと笑い、まあ明石は蛍の保護者であってオレはおまけだからなと告げれば、怒られるよと蛍が言った。
「そんなこと言ったら怒るに決まってる」
「いや、そんなことねえよ」
 それにとオレは水面を見た。流れる川面。時折、石にぶつかって音を立てている。
「明石国行ってのはそういう刀だからな」
 あとオレは太刀に守られるなんて真っ平御免だと川の中で立ち上がれば、危ないよって蛍が言う。その苦虫を噛んだような嫌な顔に、ははと笑ってしまう。
「明石には内緒だぜ?」
 ほら蛍も来いよ、魚取ろうぜ、仕掛けならもう一刻前に作ったんだと言えば、仕方ないなあって蛍が革靴と靴下を脱いで川へと飛び込んだ。



09/08 16:08
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