◎大粒の涙と貴方の一言


髭→←獅子/両片思い/タイトルは診断からお借りしました


 ぼろぼろ、ぽろぽろ、そんな音が聞こえてきそうな程、きみが泣いていた。
「どうかしたの?」
 きみ、そう、獅子王は何も言わず、ただただ静かに泣いている。その大粒の涙に、僕はどうしたものかなと思いながら、そっとその涙を手でぬぐった。けれど、また次に次にと涙は流れる。悲しそうに泣く姿に、困ったなあと思う。全く困ったものだ。僕は獅子王が泣く姿を初めて見たけれど、こんな姿は見たくない。
「どうか泣き止んで」
 そう言って獅子王の目元をべろりと舐める。すると吃驚したらしい獅子王がぱっと上を向いた。唖然としながらもぽろりと涙が一筋流れた。
「僕はね、獅子王の笑ってる姿が好きだよ」
 それはもう、とびっきり大好きなんだと笑えば、獅子王は呆然としてから、へらりと、涙を浮かべたまま笑った。
「ありがとう、髭切」
 悲しかったのどっかいったみたい。そう言いながら僕の体に抱きついた獅子王は、そう言いながらもやっぱり静かに涙を流している。
 それでも先程よりずっと少なくなった肩の揺れに、僕は少しはマシになったかなと彼の背中を撫でた。



08/02 15:30
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